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信頼できる相手には本音で接するさて、フロイト以来の古典的な精神分析のモデルでは、精神分析家は外科医のようなもので、自分の感情はみせずに、冷静に患者の心の中を解釈することで、不安や非適応な心の機能を解決してあげようというものであった。
しかし六〇〜七〇年代以降は、精神分析家は心理的に患者の親となってやり、心の育て直しをしてやるというコフ−トやドナルド・ウィニコットのモデルが主流となっていった。
さらに最近は、治療者の主観世界をみせてやらないと、相手にも主観的な世界があるのはわからないし、かえって患者の共感能力は育たないという主張が強まってきた。
このモデルはまさに、治療者と患者は親子というより、相手のためを思って親身に話を聞いてあげる親友のモデルである。
治療者が自分の主観的な世界をみせることは、自己開示と呼ばれるが、平たくいうと、自分の本音をみせるということである。127実際、精神分析家は患者の心の中や心の動きが読めるとされているが、それは患者があまり隠しごとをしないで本音を伝えてくれるという前提があっての話である。
通常は、患者は自分の悩みや人間関係などについては、本当のことを話してくれるのだが、ここで本音を隠していたり、嘘をつかれたりすると、精神分析家といえどもそう簡単に見破れるものではない。
逆に、通常の人以上に本音ばかりを聞かされている分、嘘を疑う能力が弱いくらいかもしれな、J。
しかし、人間というのは一般に本音で接してこられると、自分もつい本音をもらしたくなるものである。
思春期に親友ができるのも、親にいえない秘密(マスターベーションや初キスなど)ができた際に、それを打ち明けるからだとされている。
秘密を打ち明けられた相手は、自分も秘密を打ち明けるようになり、かくして深い人間関係ができるのだ。
ここで、秘密を打ち明けるのをためらっていては深い人間関係を作ることはできない。
犯罪でも犯していない限り、人間、秘密を知られてもそう損をすることはない。
自分が強欲であることがばれても、すけべであることがばれても、それが本音のコミュニケーションであれば、相手が離れていくことはそうないものだ。
むしろ隠しておくほうが心の健康に悪いし、深い人間関係も作れず、他人に上手に頼ることができなくなるのだ。
もちろん私は誰彼かまわず秘密を話せといっているのではない。
そうではなく、特定の親友128第2章頭をよくするトレーニングに秘密や本音を語り、わかってもらえるだけで、頼りになる深い人間関係を作りやすくなるし、また一人で悩んでいるよりも心の健康によいといいたいのだ。
信用できる奴と思える人間が現われたら、本音で話す。
ごく当たり前のようだが、これは深くて頼りになる人間関係を作るための最強のテクニックかもしれない。
以上、知識を増やし、推論を豊かにし、メタ認知能力をつけ、対人関係をよくするテクニックをピックアップしてみた。
しかし、本当に大切なのは、これらのテクニックについての知識ではなく、実践である。
試してみないことには、テクニックは身につかないし、自分流の生き方を修正するのも難しい。
頭がいい人というのは、実は行動的だということは肝に銘じておいて損はないということを最後に伝えておこう。
129さて、前章まででは、現在求められている頭のよさとは何かを検討し、その頭のよさを身につける方法を述べてみた。この章では、もう少し具体的に、要領のよい大人の勉強法を提案してみたい。
これまで述べてきたように、知識というのは断片的なものだけでなく、さまざまな経験知やスキーマ、あるいは技術も含むものである。
ノウハウ(kn。w・h。w)ということばがあるように、やり方を知るというのは、成功への重要な鍵となる。
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