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タイトル
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今宵、貴女に呪いを
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目的地 |
アフリカ・中東 > その他の国・地域 > その他の都市
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場所 |
カメルーン |
時期 |
2000 年 2 月 |
種類 |
景色 |
コメント |
―― 天使が微笑み 悪魔が囁く ――
それはそれは、大変木枯らしの吹く日でした―――。 「せ、先生・・・・・これって・・・もしかして、もしかして・・・整形じゃなく、あっちのほうでしょうかぁ〜(泣き顔)」 アタシは仲間に抱えられて、ほうほうの体で診察室にたどりついていた。 来たくなかった病院・・・・・。 ここだけはカンベンして欲しかった病院・・・・・。 「だって、安くなるんだろ?」 おめ〜〜らそういう問題じゃねぇ〜〜〜。 若い医師の背後に立つ同級生の看護婦が笑いをかみ殺している。 アタシはこいつを殺してやりたい気分だ。 なんでって・・?このオナゴは、アタシの診察券を見るや否や地下にいる妻をいち早く呼びに行ったのである・・・・・。 そういうわけで、瀕死のアタシの背後で鬼の首をとったかのような顔で魔女は仁王ダチだ。 二日間アタシが立つこともできなかった左足のふくらはぎを押さえながら医師の沈黙。 ――も、もったいぶらんと、はやく言うてくれぃ〜〜。覚悟はもうできております(泣)。せ、せめて、アタシの後の鬼を追い出してくれんかなぁ〜〜・・・・・(泣)あんた勤務時間中じゃなくって・?・・減給よ!(泣)・・・・・。 「・・・・ああ、痛風ねぇ・・・・・・なにか心当たりあるんですか?」 「あのですね、実は先生、30年この方トンカツが一番の大好物でして・・・・・・・・・・・・・」 ここで、まるくん、こだわりの7ケ条を復習して先生にも伝授さしあげましょう。
一、 産地にはこだわらず肉質よく弾力性あるロース肉 一、 肉厚2センチ以上で肉にサシ、脂身に甘味 一、 揚げた状態はほんのりロゼでジューシー 一、 低温でじっくり揚げる。胡麻油は余分な匂いが邪道。 一、 衣は天気によりパン粉を管理し、サクサク感。 一、 食するとき、けっして衣と肉が離れないこと。 一、 両側の油切りがよく、紙やすのこのうえに載せるのは技術と真心がないと思え。
で、切っても切れないご縁のトータルバランスでいうと。
一、 キャベツは必ず極細切り、しかも手切りで、あんまり作りおきしない。 一、 水気も含む、春キャベツのようなサクサク、シャキシャキ感を。 一、 みそ汁は熱々で具沢山のトン汁、もしくはしじみがベスト。 一、 浅漬けは大ぶりで、新鮮なもの。きゅうり、かぶ、白菜、小ナス。そろっていてあたりまえ。大鉢で。 一、 もちろん、ごはんはおくどさんで炊くか、もしくはガスでもツヤツヤホクホク感で。 一、 瓶ビールと冷酒は必ず置いておいてください。 一、 目利きと、油の良質を保てるよう、カウンターと少々のテーブルの小体な店がベスト。 愛に満ち溢れた、トンカツなのですよ(笑 【 HP まるくん★の旅は青空 】http://plaza.rakuten.co.jp/hunkorogashi/ より 】――」
「でも先生・・・・・ここ最近は地元のほら、焼き鳥と言って足の腿揚げがあるじゃないですか?これが最高のご馳走にとって替わったのです。塩のみまぶした素揚げ、熱々、骨付きジューシーな肉汁(肉質)、皮のとこ与えておけばご機嫌さん♪です。ウルサイですか? ザンギもいいですよね(※ 鶏の唐揚ですが、パン粉をまぶして揚げるご当地名物です)。ただしパサツイタ白身だと暴れるので注意。あるお持ち帰りの懇意な店では「持ち帰り注文?まるくん?またテバサキだけ?」などと辟易されております。これで、高級ワインからテーブルワインまで、泡盛の古酒から安焼酎。ベルギーのテンプルビールから発泡酒まで。 高級アイリッシュから和イスキー(笑)まで。なんでも、ドンドンいけちゃいます♪あ、脱線しそうでした・・・・・・。足の腿揚げの説明でしたよね?先生っ♪」 「・・・・・・・・・・・い、いや、いやもういいですよ(苦笑)。これはただの靭帯損傷でしょ?どうしてなったか記憶にないですか?」 「さぁ〜〜・・・・・?あっ、サッカーをやっておりまして、久方ぶりにしたので、痛めたのかな?」 「ああ、サッカーを・・・?」 「先生、一応血液測ってみましょうか?」 間髪いれず、背後から聞きなれた、とても聞き飽きた(笑)声がする。 ほらきた!だから、はやくこの女追い出せというのに!そして、ほぼ同時に医師の背後の女がたまりかねたように噴出し笑いころげた。 う、動けるものならけり散らしてやるところだわ・・お、おまえらなぁ〜〜(大泣)・・・。 まさか、まさかではあったが一応安堵した。 しかし、この痛さはハンパじゃない。 結局、杖を借りて地下の検査室へ降りた。 妻に血を抜きとられた人、この世で何人いるのかしら・・・・・? アタマはまっ白だった。 で・・・・・医師曰く、「判定は、限りなく黒に近い灰色ということですね」 アタシは犯罪者か??? 石膏で足を固められながら、アタシは気がかりでしょうがないことがあった。 「・・・で、先生・・・再来週から、ちょこっと、旅行の予定なんですが・・」 「え?スキー旅行とか言うんじゃぁないでしょうね・・・?」 「先生冗談きついわ(泣笑)。たんなる旅行ですよぉ〜〜」検査終えて、またまた付き添ってきた鬼妻を横目で見つつ、祈る気持ちだ。 「移動は歩くこともありますか?」 「あります、あります!・・・・・・・で!?どうなんでしょうか??」 「靭帯ですからね・・・安静にしていて回復するのが2,3週間ですけど・・・どこへ旅行ですか?」 「え〜〜と・・・外国です・・」 「えっ!????」看護婦まで、揃えて言わんでよろしっ(怒泣)。 「研修かなにかですか?」 「遊びです!!!」あっ・・・またまたアタシの後ろの鬼が口を開きましたか・・・・・あ、あなた、白衣の下の、ずいぶん大きくなったお腹さすりながら言わないでくださいます・・・・・(泣)。 「もうすぐ生まれるんでしょ?」 今度は後ろの鬼め、看護婦、うるさいっ!(怒泣)。 あんたら鬼のやりとりに先生、あきれ顔じゃないかっ(違だろ)。 ・・・・で、回復の状況を待つ、というありきたりの診察と湿布と痛み止めを処方する、ということで長い長い一日が始まり、終わろうとしていた。 「・・・で、どちら方面へ行くんですか?」 「・・・・・・エムボマって知ってますか?」 「え?!」 だから、看護婦も口揃えんでよろしっ!! 「どこですか?それ?グアム??」 「・・・・カメルーンです・・・・」 「えっ!!???」今度は先生まで、三人同時に叫ぶなっ!! 「どのくらい?」 あ・・・・・ついにその質問ですか・・・ 「・・・・・・2週間くらいだったかなぁ〜〜(オトボケ笑)」 「えええええっ!!?」 は、ハモルのも上手になりまして・・・・・・(涙 あ・・・・鬼さんには「ちょこっとバンコクでモニョモニョ」と、告げてましたっけ?? あそこ、経由地だからあながち嘘ではないのよ、いいのよねん・・・・・。 医局でクスリをもらうとき、事務局で支払いをするとき、冷ややかな視線があちこちから向けられていた。そして、仲間どうしでささやきながら、クスリと笑うのだ(シャレではありません)。こ、殺しておけばよかった、看護婦め。 サイアクの一日の終わりと始まりだった―――――――。
「で・・・・センセイ♪自宅療養の診断書をお願いしますね♪」
結局、アタシは1週間自宅療養し、いっこうに足の具合がよくならないまま、そのまま旅立っていった。 カメルーンへ―――。
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