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ナイロビ郊外にて
ナイロビ郊外にて

タイトル  ナイロビ郊外にて
目的地 アフリカ・中東 > ケニア > その他の都市
場所 ナイロビ郊外
時期 1998 年 9 月
種類 景色
コメント ―――ケニアで怖いのは、暴漢ばかりではない。
いや、むしろもっと怖い存在がある。
「彼ら」は、なかなか見えざる者であるのでよけい性質が悪い。
「感染症」である。
Oに、俄かかじりの講釈垂れた講義内容は以下の概要である。
感染症には、おもに昆虫による感染と皮膚からの感染、飲食による感染がある。
「マラリア」は、ハマダラ蚊に刺され発病を起こすアフリカで最もポピュラーなものだ。
潜伏期間はまちまちで、嘔吐、悪心、下痢、肢体痛などの症状で、その昔ヨーロッパを視点とした「アフリカ探検」が盛んな頃、多くの探検者はこの発病を原因として命を落としていった。
「黄熱病」は、ウイルスをもつ蚊に刺されることにより発病。悪寒を伴う高熱が続き、血液の混じった嘔吐、死にいたることも稀ではない。
「眠り病」の感染は、マサイ族の牛たちが次々と倒れていくツェツェバイにより、この病気も発熱を伴い、やがてリンパ腺が腫れ、昏睡状態に陥る。
「フィラリア症」は、寄生虫病のことである。
高温多湿な地域でしばし発症し、慢性期には、「象皮病」という奇病に発展。
 続いて、皮膚からの感染では、「砂ダニ症」がある。
海岸地方では、足の指と爪の間に卵を産み付けられるのに注意。
「破風症」は、外傷により菌が生まれる毒素により神経麻痺、心臓麻痺なり、死にいたるケースも高い。
「狂犬病」は、犬やマングースなどに噛まれることにより感染し、頭痛から始まり、不眠、呼吸困難などに陥り、発症するとまず100%近い致死率である。
「住吸血虫病」は水中から感染する。
血尿、血便から進み、肝硬変にいたるケースが多い。
飲食による感染は「赤痢」がある。潜伏期間は数日以内で、血便性の下痢、悪寒、発熱に悩まされる。
「腸チフス」は、発熱から徐々に高熱を伴う。
「コレラ」は、コレラ菌特有の下痢、嘔吐、脱水症状、そして意識障害などに陥る。
その他にも、「サルモレラ菌」、「腸炎ビブリオ」、「黄色ブドウ球菌」などの細菌性食中毒がある。
「ちょっと、Sさん・・・・・・。食欲減退するじゃないっ」
「配られる肉、ほとんど食べたくせによく言うよ(笑)」
 そして、今日、アフリカ大陸発祥とされるウイルスで避けて通れないのが、「エイズ」である。
感染すれば、一週間から八週間くらいで血栓抗体が陽性になり確認される。
発病にいたるまでは3年から10年かけての潜伏期間がある―――――。
他にも挙げれば枚挙のいとまがない。
こんな話をしていたせいばかりではない。
時差のせいか、だんだん眠たくなってきた。
それに高度1600メートルにあるナイロビの夜の冷気ですっかり食欲をなくしていた。
もう帰らない?
その時、斜め前に座っていた女の子に目が向いた。
彼女もウツラウツラしながらも、それでいてなんとはんなりしたお顔・・・・・。
あれ?ナイロビのホテルでのザンギリカットの娘さんだったっけ?
どうも印象にない。
しかし、私は急に生気が戻ってきた。
いったい、動物のサファリなのか人間のサファリなのかようわからん状態だった。
―おっちゃんおっちゃん・・・・・・― 妻の突っ込みがまた届いてきそうだった。
さぁ、ホテルに戻ろう――――明日はコースの同伴者たちがわかる。
きっとこの娘といっしょでありますように・・・・・・・・・。



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