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アンボセリにて
アンボセリにて

タイトル  アンボセリにて
目的地 アフリカ・中東 > ケニア > その他の都市
場所 アンボセリ
時期 1998 年 9 月
種類 景色
コメント はい、いいですか?次、行きますよ」パトリックは妙に元気になって、フランクに発車を命じた。
車はネコちゃんたち1号車と離れ、ロッジ周辺のオルトカイ地区から昨日、ナマンガゲートから来た道を逆に走りはじめ、やがて本道をはずれ、細い右の道を進んだ。
ほどなくして、ダチョウが一列に並び、羽を広げて走る後姿や、シマウマが水を求めて小さな池に向かい一列縦隊に並んでいる光景や、ハイエナたちが朝食の肉のかけらを奪い合う様や、その肉のおこぼれをセグロジャッカルが狙う姿など、檻のない動物園ならではの光景を目のあたりにした。
きっと4人様々に、シャッター音の数ほどの感動があったであろう。
なかでも、バッファローの大群が移動する光景は圧巻であった。
通常、サファリはこうして早朝と、日没前の2時間のみ行われる。
動物たちが一番活動しており、また効率よく周れる時間帯なのだ。
ゾウの親子の行列をみた。インパラもいた。聡明そうなヘビクイワシもみた。
「カバはおらんのかいな?」
またMが可愛く不平を言う。
ヒッポ・ポイントと呼ばれるカバの住処の池をいくつか周ったが、生憎私たちは、カバが水中で生活することを知らなかった。
「そのうち、カバッーと、出てこんかな?」
「なんや、しょうもなーガクちゃん。ガクちゃんいうより・・・・・やっぱりマナブーやな。せや」
サファリを重ねる回数ごと、Mの私に対する接し方、というより姿勢が明らかに変化していた。
「単身で果敢にアフリカに渡った好奇心旺盛な博学な年上のひと」から「妻子を残して自分だけ悦楽に興じる身勝手でだらしない男」に・・・・・・・・・。
あたってるやん(笑)。
「カバより、ワシはキリマンジャロを所望じゃ」
「マナブーしつこいわー」
早朝は、厚く垂れこんだ雲が裂け、比較的キリマンジャロは仰ぎやすい、と聞いていたが、やっぱりキリマンジャロはどっしりした麓を覗かせているだけで勇姿とはいいがたい。
Mは独り言をつぶやくようになぐさめてくれた。
「残念やなー、マナブー・・・・。でも、大丈夫!どこぞの神主がおるから!」しばらく間があり。
「・・・・・・・・神主いうたら、神の使いやろ?」また、しばらく間があり――――。
「・・・・・・・・・・なんで、マナブーが神の使いなんっ!!??」

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