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タイトル
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10月の空 ?
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目的地 |
日本・アジア > 日本 > 愛媛県
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場所 |
愛媛 |
時期 |
1997 年 10 月 |
種類 |
景色 |
コメント |
そんなことは露とも知らず二人はシャーリア・アハラム通り(たぶん)を歩いている。 この道の反対方向は真っ直ぐアレキサンドリアへ向かう、アレキサンドリア通りだ。 とても夢のある通りだと思う。 200キロ離れた地中海と砂漠のギザの台地が直結しているのだから。 そして夜になると海風はギザの台地の空気と交わり朝靄を生む −−−−。 登り坂にさしかかる頃、 肌に感じるものがあった。手で拭うと砂だった。 砂・・・?? なんで、砂が・・・?砂!!今朝、空に舞っていた砂塵が、今宵、 降っているのだ! 坂を登りきる前に道は大きく勾配し、うねるようなカーブになった。 街灯も途絶えて、 あたりは闇に覆いつくされていた。大昔からそうであるように。 二人は並んで歩いていた。霧といい砂といい、空が織りなす不思議なドラマの下を。 今日一日落ち着いて話すことはなかったし、そういう機会もなかった。また、こうして二人並んで歩くことすら出来なかっためまぐるしい一日だった。 ホントにホント! 話すことは一杯あったはずなのに、相変わらず二人は無口だった。 あの、ナズラットサマーン村の祝祭の方舟にまだ乗っている軌跡を引きずっ て・・・。 カーブを曲がりきるとホテルが分かった。それは、すでに馴染み深い「目印」であった。 最初に目に飛び込んだのが、ホテルの窓から溢れる薄明かりにぼんやりと照らし出された、「ピラミッド・ビュー」を見事に封じ込めた、あの、ポプラの木だった− −−−。 もうすぐ、ホテルの門をくぐるとおとぎ話は終わる。そう、フェスタは終わったのだ。 いずれにせよ、今夜のことは村の人々以外では世界でただ二人、彼女と私のみが結婚式の外部からの立会い人だったことに間違いはなかった。 忘れてはならぬのだ。 そのこのことを告げたら、彼女も無言のまま大きくうなづいた。 ラッパの音がどこからか風に運ばれて聞こえるような気がした。 モーセスたちのラクダ小屋も闇にかき消されて漆黒に色塗られていた。 モーセスがまた、人を小馬鹿にした上目づかいで(けれんみのないしなやかさで)、「ハアローウ、マーイフレーフレンド!!」と、後ろから方を叩いてきたりはすまいかと、ありえないことを想像した−−−−。 今日一日、彼と、彼の甥、のために60$(プラス香水瓶代が275ポンド)が消えた。 しかし、 金では買えまい、 いやきっとそうであろう。摩訶不思議なご縁だった。 もし、ピラミッド入場口でモーセスと出会っていなかったら・・・・。 |
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