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タイトル
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10月の空
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目的地 |
日本・アジア > 日本 > 愛媛県
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場所 |
愛媛 |
時期 |
2000 年 10 月 |
種類 |
景色 |
コメント |
もしも―――。 ルクソールでふと魔がさしてアレキサンドリアへの一日観光をバヨミ君に手配していなかったら昨日ピラミッドを観光し終え、今日はカイロで買い物であったろう。 もし、今朝、霧がでてなかったら、もし、妻の胃の調子が悪くなかったら、もし、夕刻、妻の胃の調子が直ってなかったら、もし、何度も警告したとおりに妻がラクダに乗らなかったら、もし、ダンスパーティーへ行くことを拒んでいたら−−−今夜、シャイマーやシーワ、白のドレスの女の子、キザ屋君、オババたちと出会う機会は永遠に失われてれていたに違いない。モーセスと出会ったタイミングの何千万光年分の1にも満たない「偶然性」を想った。(ところで、何故彼はラクダ1頭と馬3頭を連れていたのか?) そして、出会いは、もちろん全て偶然に訪れる−−−−−−−。 もし、指輪は鞄にあると気づいてたら、もし、夜行列車を待つラムセス中央駅のプラットホームでキオスク近くのテラス席に座らなかったら、 もし、予定どおり地元のボートでナイル川渡りしていたら、もし、アスワンのフィラエ島イシス神殿の観光を断っていたら、もし、予定どおりアブシンベルへの飛行機が飛び立っていたら、もし、バスマホ テルで待つ間をレストランで過ごさなかったら、 もし、アレキサンドリアへ一日観光を思いつかなかったら、 もしももしも・・・。 この世はもしもで構成される脚本いらず―――。
ヤスルが同年同誕生日なんて知る由もなかった。コムオンボの商人モハメド・シャハト(彼は本当に堂々と臆面もなくメモ帳に住所を「コムオンボ神殿」と記した)と、夜風に包まれ楽しく過ごすことはなかった。モーセスと瓜二つのテーイップと出会うことはなかった。三人組が河内音頭ならぬヌビア音頭を聞かせてくれることはなかった。エジプト・エアーのスタッフ=サミアやタハやハッサンと砂漠横断などしなかった。親切なチーフウェイター、ムワンディやウェイター、エルガメルと心なごむひとときを過ごすことはなかった。オーラが予約した念願のフェルフェラへ行くこともなかった。 モーセスばかりか、ここに至るまでに愉快な人々との「偶然」の出会いがあった。 そして、わずかなエジプト滞在中に起こった思いもかけずおもしろうてやがてトホホホながらも、やっぱり愉快で愉快でたまらない出来事とカタルシスに遭遇してきた。 「偶然」、それは世界がどこかでどこかに繋がっている「奇跡の」道しるべだ。 ヤスルからモーセスに至るまでの出会いを解きつつ、妻の横顔をまじまじ見つめ た。 |
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